<お話を伺った方>
人間科学部スポーツ健康学科 山中良晃先生
導入の経緯をうかがってよろしいでしょうか。
本学は最近UNIVASに加盟しました。スポーツ健康学科の学科長はずいぶん前からUNIVASに興味を持ちつつ、大学としては動いていませんでした。ただ私は個人的にUNIVASのデュアルキャリアプログラムに参加しておりました。そんな中で、別の教員が、教材が利用できるということを聞いてサンプルを取り寄せ、検討していたんです。私がデュアルキャリアプログラムで得た情報を学科に共有し、その教員が教材のことを共有して、タイミングよく繋がって、UNIVASに加盟することで一致し、今回教材の導入を進めさせていただきました。
教材導入の背景としては、従来使っていたテキストが少し本学の学生には難しかったことがあります。いわゆる入門書ですが、字が多くて読もうという気にならないし、大人数の授業で扱いますので、しっかり聴講しているか隅々まで見ることができない。ですので、1年生で教えた「レポートの書き方」などを3年生のゼミになって再度教えないといけない…という問題がありました。今回UNIVASが提供している教材のサンプルを送っていただいて、非常にわかりやすくて学生の心に刺さるのではないかと感じ、導入するに至りました。
今回の教材導入にあたり、どのような課題をお持ちでいらっしゃいましたか。
本学のスポーツ健康科学部は、100人おり、6割ほどが強化クラブの学生です。しかし、「スポーツ健康学科で学べることを学ぼう」と考えている学生もいますが、ただ「部活ができるから」という理由で本学に入学する学生も非常に多いです。面接で「将来何になりたいと考えていますか」と聞くと、「僕はプロになります」とか、ざっくり「社会人になります」と返ってくる。しかし、全員プロになるのはやはり無理です。キャリアが明確に描けていない、でもそういった学生を合格にせざるを得ないという現状もあります。
教員や指導者などの具体的な目標がある学生はよいのですが、それ以外の学生たちにとっては、「レポートなんて書いても人生の役に立たない」という感覚もあるようです。ですから、「トップアスリートもスポーツだけではなくて、いろいろな努力をしてるんだ」とか「文章を書いたり、自分のことをPRしたり、スポーツでパフォーマンス上げるだけじゃないところもいっぱいあるんだ」と伝えられるところが、テキストとして良いと思いました。
教材のどんな点を評価いただいていますか。
二つあります。まずは、写真やイラストが多く、非常に見やすいこと。そして、スポーツが題材になっていることです。
大学でよく使う入門教材というのはまず「研究とは何か」というような話から入ることが多いですが、そこで事例として挙げられる話は多くの場合学生にとっては難解です。そういった意味で、先輩体験談やスポーツの話があると、取り組むハードルが大きく下がって、とっつきやすくなる感じがあります。従来使っている教材は今も使っていまして、併用している形なのですが、まず『ハンドブック』でハードルを下げるというのは重要だと考えています。
教材はどのように使用されていますか。また、教員の方からの評価はいかがでしょうか。
1年生前期の「大学基礎」というの必修科目で使用しています。この授業は大学生活のベースになる部分…例えばノートの取り方、調べ方、図書館の使い方、レポートの書き方などを、担任の教員陣が半期に持ち回りで担当しています。テキストの使い方は教員によってさまざまで、元々使っていた教材を基本として使い、『ハンドブック』を補助的に使用する教員もいれば、最初から『ハンドブック』で入り、内容を活用している教員もいます。
教員からの評判もかなり良いです。今年初めて『ハンドブック』を見たという先生もいらっしゃいますが、『ハンドブック』があることで非常に授業が進めやすくなったとおっしゃっていますし、「大学基礎」を数年担当していらっしゃる先生からは学生の取り組み方がはるかによくなったという声も聞きます。今後も活用していきたいと思います。